福島高校リベラルゼミ 実施報告書
テーマ『50年後から“福島/ふくしま/フクシマ/Fukushima”の現在を考える』

【レポート】

「自由人であるための学問」=「リベラルアーツ」の精神を踏まえて、第1部では講師である国立情報学研究所の新井紀子教授から講演をいただいた。

参加社は1年生と2年生の全員で授業の一環として行ったが、視聴覚室の収容人数は限られているため、希望した生徒(約60人)が視聴覚室で聴講した。「AIで東大入試に合格させるプロジェクト」の話や「AIは学習した情報の成否を判談出来ない」などの真相も講義頂いた。

また第2部では100年構想委員会理事であり、同校OBでもある山田純さんがファシリテーターとして登場。

自分の体験談(ご自身は東大卒だが学歴は社会にデビューしてから何の役にも立たないことなど)や参加した高校生が今後どのように生きて行くべきかについてインスパイアーした。

その後ファシリテーターをバトンタッチした篠木雄司さん(福島高校OB100年構想委員会監事)が10のグループに班分けされた各グループのリーダーからの発表を促した。どのグループも前向きに自分の将来と福島の未来について熱い想いを述べて頂いた。
第1部での、現在の教育が記憶力や受験テクニックに頼り過ぎた結果、高校生の国語の読解能力が著しく劣っていることを憂慮するという新井先生の講演と第2部のワークショップ『バックキャストで50年後の未来を考える』というテーマの整合性に関しては、広義の意味で“世界そして福島を読解する力を養う”という点では通底していたと思う。今回のリベラルゼミが『福島の未来を読解する』きっかけになれば嬉しい限りである。 


【実施概要】
・日時:2024年12月19日(木)13:00~16:30
・会場:福島高校 
・参加者:福島高校 1・2年生 約60名

●新井紀子氏のプロフィール
東京都出身。一橋大学法学部およびイリノイ大学数学科卒業、イリノイ大学5年一貫制大学院を経て、東京工業大学(現:東京科学大学)より博士(理学)を取得。専門は数理論理学等だが、人工知能や地方創生等、文理融合分野で幅広く活動をしている。
2011年より人工知能プロジェクト「ロボットは東大に入れるか」プロジェクトディレクタを務める。2016年より読解力を診断する「リーディングスキルテスト」の研究開発を主導。 科学技術分野の文部科学大臣表彰(2010年・2022年)、日本エッセイストクラブ賞、石橋湛山賞、山本七平賞、大川出版賞、エイボン女性教育賞、ビジネス書大賞などを受賞。
主著に「生き抜くための数学入門」(イーストプレス)、「数学は言葉」(東京図書)、「AI vs 教科書が読めない子どもたち」「AIに負けない子どもを育てる」(東洋経済新報社)など。
一般社団法人 教育のための科学研究所 代表理事・所長。


●第2部ワークショップ 『バックキャストで50年後の未来を考える!』
ファシリテーター:山田純さん
・展開内容
①バックキャストの進め方を知る。
  ~歴史からは学べるが遠くの未来は何も見えないのか?~ ②理想とする未来像を描き、話し合う。
  ~いつの時代も希望や未来は見えていたのではないか?~ ③実現のためのシナリオを、50年後から10年ずつ遡って考える。
  ~17歳の高校生にとって生存している年齢としての50年後は見えるか?~
④発表しあう。
  ~参加者を混合チームに分けて話し合う~
⑤講評と振り返り(篠木雄司さん)